相続税についてBOUT INHERITANCE TAX
相続税について
相続税が発生する可能性について
相続税の計算においては、一定の財産額までなら相続税がかからない基礎控除額があります。 相続財産の評価額から亡くなった被相続人の債務(借金など)や葬儀費用を控除した正味財産の合計が、基礎控除額以下であれば相続税はかかりません。
計算方法
相続財産-債務や葬式費用=課税価格の合計額≦基礎控除額
(※基礎控除額=5,000万円+法定相続人の数×1,000万円)
但し、平成27年1月1日以降に発生した相続については上記金額下記のとおりとなります
5,000万円 → 3,000万円
1,000万円 → 600万円
計算例
相続財産 :9,000万円
借金 :なし
葬儀にかかった費用 :500万円
相続人が4人の場合
課税価格合計
9,000万円-(0円+500万円)=8,500万円
基礎控除額
5,000万円+1,000万円×4=9,000万円
8,500万円(課税価格の合計)
9,000万円(=基礎控除額)
この場合、相続財産の課税価格合計が基礎控除額よりも低いため
相続税は発生しません。
相続税評価額の方法
相続税の申告において財産の評価は時価で行います。時価の求め方については国税庁が定める財産評価通達に従って算出します。
特に不動産の評価額算出にあたってはかなり複雑になるため、専門家にご相談されることをお勧めします。
「財産評価基本通達」に記載されている評価方法の主なものは次のようなものになります。
財産 | 評価方法 |
---|---|
家屋 | 固定資産税評価額 |
市街地にある 通常の宅地 |
路線価(土地の形状による減額補正後)×宅地面積を土地の位置や形状により補正した額 |
路線価の ついていない宅地 |
固定資産税評価額×所定の倍率 |
上場株式 | 相続開始日終値、開始月・前月・前々月の終値平均のうち最も低い価額 |
非上場株式 | 相続税評価基準による純資産価額と、事業内容が類似する上場企業の株価等を基にして評価する類似業種比準価額の折衷法 |
普通預金・郵便貯金 | 相続開始日の残高 |
定期預金 | 相続開始日の残高+相続開始日に解約した場合の利息金額 |
一般動産 | 調達価額(不明なものは新品小売価額-経過年数に応じた減価額) |
死亡退職金 | 受取金額-非課税枠(500万円×法定相続人数) |
生命保険金受 | 受取金額-非課税枠(500万円×法定相続人数) |
ゴルフ会員権 | 取引相場×70% |
自動車 | 調達価額または新品小売価額-経過年数に応じた減価額のいずれか |
相続税対策の3つのアプローチ
相続税の対策を考える場合、考えるべきことには大きく3つあります。
相続税がどれだけ発生し、納税することが可能なのか?
親族間で円満に財産を分割できるか?
相続税をどのように減らすか?
この節税対策・もめない対策・財源(納税)対策の3つの柱を中心に行います。
現状把握
まず、大事なのは、相続税がかかるのか? かかるとしたらどれくらいかかるのか?かかった相続税を今の段階で納めることが可能なのか?これらを知ることが重要です。
相続税額を下げることばかりに気をとられるも、実はそんなに相続税は発生しない。
むしろ相続対策で財産構成がややこしくなってしまう、といったことも少なくありません。
ご自身の状況を把握し、何をすべきかを考えることが重要です。
遺産分割対策
相続が実際に発生した場合、相続税の負担がどれくらいになるか非常に関心の強いところです。ただ、相続人によっては、自分が取得する財産がどれくらいになるのか?といった点にも強い関心を持つものです。
相続人が数名いればそれぞれの考えがあり、必ずしもうまく遺産分割の方法がまとまるとは限りません。そのため「相続争い」を防ぐというのも、重要な相続対策の1つなのです。
対策としては、被相続人本人がご自身の財産を、どのように相続してほしいかを明確にしておくことが大切です。遺言書を作成し、自分の意思をはっきりさせておくことで、相続争いはある程度防ぐことができます。
また、財産を分けやすくしておくということも重要なことです。
財産を不動産ばかりに偏らせない、建物を建てない土地を残しておくといったことが考えられます。
節税対策
相続税における代表的な節税方法は、次の2つになります。
「生前贈与の活用」と「財産評価の引き下げ」です。
110万円を超えた生前贈与では贈与税が発生しますが、110万円以下の贈与の場合には、贈与税はかかりません。
この非課税の仕組をうまく使うことで、相続税を減らすことができるわけです。
贈与税はある人が1年間(1/1-12/31)に贈与を受けた金額の合計によって税額が決まり、多くなればなるほど税率が高くなります。
そのため、長期間にわたって低い金額の贈与を行えば、税負担をかなり抑えることができます。
続いて、財産評価を下げるという方法には色々なやり方があります。
例えば、空き地となっている更地に貸家やアパートを建てることで更地が「貸家建付地」に変わり、相続税評価額20%近く減額されます。
また、自宅や、事業用の土地に適用出来る小規模宅地等の特例を使えるようにすることで、評価額を大幅に下げることもできます。
アパートやマンションを建築し、人に貸し出すことは多くの地主さんがとっている典型的な相続税対策です。
資産運用でも効果が期待でき、さらに所得税、固定資産税の節税にもつなげることが可能です。
物納や延納について
相続税は納付期限までに現金による一括納付が原則です。
ただし現実的には一度に税金を支払えない場合も出てきます。
家族が突然亡くなり、納税資金の準備も出来ぬまま、申告期限を迎えてしまうようなことは多く見られます。
このように急に発生した相続税を一度に払えない場合には、延納や物納が認められます。
延納について
相続税は原則として申告期限までに一括納付するものです。
しかし、一括で納付することが難しい場合には一定の手続と条件を満たすことで延納が認められます。
ただし延納には年3.6~6.0%の利子税を支払う必要があり、延納期間は財産の状況により最長で5年~20年となります。
延納の条件
- 相続税が10万円を超えること
- 金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること。
- 延納税額及び利子税の額に相当する担保を提供すること。
- 延納しようとする相続税の納期限又は納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること。
延納は分割で納付できるということで便利な方法ですが、長期間にわたって利子税がかかってしまいますので、 金融機関から借り入れをして一時に納付してしまった方が負担が少ないという場合もありますので検討が必要です。
物納について
延納による方法であっても納付が困難な場合には、一定の要件を満たすことで物納が認められます。 物納とは金銭の代わりに、有価証券や不動産などの【物】で相続税を納める方法です。 物納できる財産は、何でもよいというものではなく国が管理処分するのに適したものでなければなりません。 そのため、以下の順番で物納の対象になります。
物納の対象
- 第1順位:国債、地方債、不動産、船舶
- 第2順位:社債・株式などの有価証券
- 第3順位:動産
物納する場合には、物納申請書を相続開始から10ヶ月以内に税務署に提出しなければなりません。 また、物納の手続後、一定期間内に限り物納を撤回して本来の金銭による納付に戻すこともできます。